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ねえ、知ってるかい?―――


―――何をだい?


交互に、ある言葉を言うと願いがかなうんだって―――


―――へえ、面白いじゃないか。


でも、それは決して言ってはいけない言葉なんだよ―――












「仕方ないじゃないか」
何度目かのケンカ。

「寝ても冷めても同じ事ばかり言ってるじゃない!」
何度目かの言葉。

「馬鹿馬鹿しい……いい加減にしろ」
何度目かの応酬。

「いい加減にするのはあなたよ!」
ここで、やめればよかったのに




言っては、いけない言葉が続いているのに





「言いやがったな……っ!!!」






ああ、続いてしまった。
とうとう言葉が続いてしまった。






「おまえなんか」
「あなたなんか」








いってはいけない。










『死ねばいい』










―――聞いてもいいかい?


何だい?―――


―――その言葉を言ったら、どうなるんだい?


それはね―――





自分にかえってくるんだよ。
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空に手を伸ばした。
目一杯伸ばした。
でも届かなかった。

雲の一欠けら位、掴ませてくれたっていいだろう。
その青い空に、綿のようにいくつも浮かぶそれを、一欠けら位。



我侭だ。
駄々だ。
馬鹿げた夢だ。



けれど今日もまた空に手を伸ばす。
眩しさに瞳を閉じても、また伸ばす。
届かないその場所に向かって、己の腕を。
雲のように空に溶け込む事が一生できない腕を。



悔しいなんて思うのは傲慢だ。
悲しいなんて思うのは愚かだ。






それでも止まらなかった。
零れる涙を止める術を、知らなかった。





焦がれるその場所。

先生はとてもぶっきらぼう。
しゃべり方がなんだか怖いんだ。

先生はあんまり笑わない。
怒ってるように見えてなんだか怖いんだ。

先生はとっても厳しい。
挨拶をしなかったらとても怖いんだ。



でも知ってるんだ。
先生は、ほんとーは怖くないって事。







学校にあるプールの開放日だから、おにいちゃんと一緒に遊びに行ったその帰り道。
ずるっこだけど、中庭を通れば校門に早く着くから、こっそりそこをおにいちゃんと一緒に手をつないで歩いてた。


にゃぁお。
なぁご。



猫の声がした。
学校で飼ってるのは、鳥とうさぎだけなのに、どうして猫がいるんだろう?
おにいちゃんと顔を見合せて、こっそりこっそり、声の方へ近づいてみる。
そこにはちょっと汚れてるけど、可愛い猫の親子がいた。

かわいいね。
かわいいな。

おにいちゃんと目だけで会話をして、顔をニコニコ笑顔にしながら猫を見てた。
そしたら。


「ここは帰り道として認められていないよ」


びっくりして後ろを振り返ったら、先生がいた。
暑いのにちゃんとスーツを着てる。
おとうさんなんて、暑い暑いって言って、ネクタイだってだらしなくしてるのに、すごいなぁ。
そんな事を思っていたら、先生がごつん、こつんとおにいちゃんと私の頭を小突いた(ごつん、はおにいちゃんを小突いた音で、こつん、が私)。


「ごめんなさい」
「ごめんなさい」


しゅんとして謝ると、先生は肩を竦める。
きっと許してくれたんだと思う。
だって先生は、ちゃんと謝れば許してくれるって知ってるもん。
しょんぼりしてるおにいちゃんと私の隣をすり抜けて、先生は猫の親子の所に行く。


にゃあん
みゃぁみゃぁ


びっくりした。
だって猫が先生のスーツのズボンにちょっぴり汚れてる身体をすりつけ始めたから。
先生もそれを怒ったりしない。
それどころか、どこに持っていたのかわからないけど缶詰を出して猫にあげはじめた。



「ないしょだよ」


先生がそう言う。


「君達がここを通って帰ろうとしたのを、黙っていてあげるから。君達はこの事を誰にも言っちゃダメだよ」


約束できるなら、この子達に触ってもいいよ。って。
先生がそう言うから、私もおにいちゃんも首がもげちゃうんじゃないかって位にこくこく頷いた。
だって私もおにいちゃんも、猫の親子に触りたくって仕方なかったんだもの。
怖がらせないようにそぉっと近づいて、そぉっと撫でる。
可愛いなぁ。


「先生、私たちもご飯持ってきてあげてもいい?」
「いいけど、煮干しとか牛乳はだめだからね」
「どうして?」
「猫にとっては塩味が強すぎたり、人間の牛乳も猫が飲むと下痢になっちゃうから」
「そっかぁ……」


じゃあ、お小遣いをちょっと貯めて猫のためのごはんを買ってあげないとだめだなぁ。
おにいちゃんもそう思ってるのか、口をへの字にして考えてる。
すると、先生はぽんぽん、て頭を撫でてくれた。


「僕が餌を準備しておくから、君達でこの子らにあげて」
「いいの?」
「君達は月に1度お小遣いを貯めて、この子らに猫用のおやつをあげるって約束するならね」
「約束する!」
「する!」


ぴん、と手を伸ばして返事をすると、また先生は頭を撫でてくれる。
その顔はちょっとだけ笑ってた。



あんまりに珍しいからぽかんと口を開けて見つめてたら、「何見てるの」って言われて、小突かれちゃった。

********


小突かれてもちっとも痛くないんだよ。

ふわり、ふわりとカラダがおちていく。
なにかが、やわらかくカラダをしんしょくしていく。


ふと、てをのばす。
やわらかなものに、ふれる。



わたぼこりのような、やわらかな。

けれどわたぼこりより、ずっときれいな。


そう、たとえるなら、はね、のような。






りょうのてのひらでつつみこむ。
たいせつな、それを。
しんしょくしていくカラダに、とけこむまでずっと、たいせつに。









昼のうたた寝から目を覚まして身体を起こす。
暑い季節だけれど、エアコンをつけていたから快適だった。
だからあんな不思議な夢をみたのだろうか、と首をひねる。
そして手をじっと見た。

当然ながら何も手にしていなかった。
空っぽの手を握ったり、開いたり。
柔らかなものをだったから感覚も残っていない。
いや、本当に手の中にあったのかどうかも定かではない。

けれど確かに自分は触れた。
だってこんなに心が軽い。温かい。凪の海のように穏やか。


あれは一体なんだったのだろう。
わたぼこりのような羽根のような。
よくわからないけれど柔らかかったあれは一体なんだろう。


そんな事を考えつつ、起こした身体をまたごろりと横にしてごろんと1回転2回転3回転した所で壁にぶつかる。
強かに頭を壁にぶつけたせいで、回転も思考回路もピタリと止まってしまった。
せっかく柔らかなものに触れて気持ち良かったのに、最後は結局硬いものに触れるなんて。


なんだかついてない。

*********


こぼれたためいきは、やわらかかった。

打ち抜かれた死体から零れるのは鮮血

硝煙の臭いがまとわりつく体から零れるのは溜息





ああ神よ
いるかもわからぬ神よ
いたとしても何の役にも立たぬ神よ
あなたの御許にまた1人送りました
どうか可愛がってあげてください。


ああ、でも神よ
いるはずのない神よ
いたとしても1度も己を救ってくれた事のない神よ
きっとこの亡骸の男はあなたの元には逝けないでしょう
逝く先は地獄なのだから。





己と同じように人を殺め
亡骸を踏みつけ踏み越え蹴り飛ばし
そこを超えた先にいた人間をまた殺め
亡骸を踏みつけ踏み越え蹴り飛ばす
そんな人種が逝くのは地獄だけだ。



ならば今、己は誰に祈っているのだろう。
何を思って溜息を零すのだろう。

********

祈る相手は死の神
早く自分を迎えにこいと溜息をまた1つ。


【BGM:絶望ビリー(Song byマキシマム ザ ホルモン)】
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