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ざわつく教室の中で、一際目立つ1つのグループ。
食堂で昼ご飯を食べ終え、残った昼休みの時間をクラスで過ごすためにダラダラとだべっているだけなのだが、どうにも目を引く。


「静、ジュースくれ」
「自分の飲め」
「ケチるなよ」
「人のをせびるお前にケチについて語られたくない」
「勝手に奪うぞ?」
「ちょ、危な…綾! 零れるっつの! 健一も見てないでこのバカ押さえろ!」
「あんまり暴れないでよー、机の上のお菓子が零れる」
「それだけか。それだけなのか!」


1つの小さな机を囲むように3人の男子生徒。
紙パックのジュースを飲んでいるセイに、それを奪おうとするリョウ、そんな2人をほのぼのと見やる健一。
その行為自体はどこででもある行為なのに、人目を引くのはその見た目。



綾(リョウ)と呼ばれた生徒は「目があったらヤられる」「兄弟の数は数知れず」とまことしやかな噂が流れるほど、ソノ手の魅力に溢れている。
ブルーグレーの瞳を細め、口端を持ち上げて笑う様など、どこぞの王様よりも偉そうなのだ。
趣味は「狩り」と豪語する位に手が早く、女性もイケるらしいが現在の環境が男子校という事もあってか最近は「野郎相手が多い」らしい。

静(セイ)と呼ばれた生徒は綾とは違い、言うなれば「クールビューティー」というのが1番わかりやすく、かつ、影でこっそりと静をそう呼んでいる者もいるとかいないとか。
ダークグリーンの少しだけつり上がった瞳は冷たい印象を与えるものの、綾の言動にツッコむ立場に立つ事が多く、苦労人に見えるためか、今だかつて「冷たいヤツ」と言われた事はない。

健一と呼ばれた生徒は少しだけ垂れているブラウン瞳と、いつも穏やかそうに笑っている印象が強いために、この3人の中で1番の常識人だと言われている。
どこか現実離れした言動と見た目をした綾と静に懐いている位だから、決して常識人ではない気がする……とも言われているのだがら、真相は3人のみぞ知る、といった所である。




とどのつまり、見た目が大変よろしいのだ。
だからこそ人目を集める事が多いが、この3人にとってそんなものはどうでもいいらしく……。


「だぁぁあ! 綾やめろって本当に零れる!」
「大丈夫だって零れたら俺が舐めてやるよ、丁寧に」
「そんな事されたら勃っちゃうじゃないか。午後の授業にでられなーい」
「安心しろよ。ちゃんとノートは取っといてくれるさ。健一が」
「清々しい昼休みの時間に淀んだ夜の空気は持ち込むなっていつも言ってるじゃん。ノートは取るけどね」
「ノートのお礼は俺が身体で返すよ。女じゃ経験できない気持ちよさを味あわせてやるぞ?」
「僕彼女いるから。あと綾も含めて男相手には勃たない」
「ついうっかりノった俺が悪かったが、健一…お前の発言も綾と大差なくなってるぞ」


昼間から下ネタ全開である。
そして会話からも察する事ができるように、綾と静は既に肉体関係を持っている。ただし付き合っている訳ではなく、曰く「セフレ」らしいのだが。
自宅が高校から遠いため、寮に入っている2人は都合よく同室であるがためにそれこそヤろうと思えば毎日でもヤれる。
健一も寮生活ではあるが、2人とは部屋も違うし学外に彼女がいるとかで、2人のその関係にまで付き合おうという事はない。


「とにかく、ジュース欲しいなら僕のあげるよ、綾」
「サーンキュ」
「……早くそうしてくれ。つーかテメェも調子に乗りすぎなんだよ」
「った! いってぇなー……静もノリノリだったくせに」


静のジュースを奪うはずが何故か服に手をかけ、元々緩んでいた制服のネクタイを更に緩め始めた綾に、健一が自分の飲んでいたジュースを差し出すと、綾はあっさりと静から手を離してジュースを受け取って飲み始める。
気付けばジュースではなく自分が獲物になっていた静は、ネクタイをきっちり締めなおし、ついでに止めていなかったボタンもがっちりと留めてから綾の頭を軽く叩いた。
恐ろしい事に日常的によくあるこの言動を、常に目の前で見ているからか、既に諦めているからか、はたまたそれを楽しんでいるのか…さっぱり読めない笑顔を浮かべながら健一は机の上のお菓子を食べている。
そのお菓子を口に入れようとした瞬間、3人の中で唯一教室の入り口に顔を向けていた健一は見知った顔が2つ、教室をのぞきこんでいる事に気付いた。


「ねぇねぇ」
「あ? 何だよ」
「綾のご主人様が来たよ。あと静の後輩君」
「はっ!?」


慌てて椅子から立ち上がって綾が背中を向けていた入り口へと顔を向けると、確かにそこには綾にとって崇拝対象でもある葵がひらひらと手を振っていた。
同じように静も振り返ってみれば、ひらひらと手を振る葵の隣でペコリと頭を下げる旭の姿を認め、軽く手を挙げて微笑む。
そうしている間にも、綾は素早い動きで葵の元へと走っていた。


「葵さん、何か用でもありましたか?」
「今日の生徒会会議なんだけど、顧問の職員会議の都合により前に言ってた時間から30分早くなっちゃうっていうのを伝えにきたんだ。本当は、あさひちゃんが顧問から伝言頼まれてたのを偶然僕が見てて、旭ちゃんにくっついてきただけ」
「わざわざありがとうございます」
「ううん。単にこっちに来たかっただけなんだ。ここってあやちゃんのクラスだっけ? 去年は僕もこのクラスだったから懐かしくって」


そう言ってふわりと微笑む葵に、綾は眩しいものを見るように瞳を細めると「そうでしたね」と頷く。


綾にとって、葵は憧れというにはあまりにも強烈な存在である。
この高校に入学した時、既に生徒会に入っていた葵を入学式の時に見て一目で虜になった。
いつもはどこか不遜な態度の綾も葵の前では従順な犬のようになるし、「葵がいるから」という理由だけで生徒会に入った位にどこまでも従っている。
それは葵にだけ許している「あや」という名前の呼び方にも忠実に表れており、葵以外の人間が「あや」と呼ぶと一気に機嫌が悪くなるのだ。

そして綾をそれだけ夢中にさせる葵もまた、見目が麗しい。
「学園のアイドル」と呼ばれ、影では抜け駆けがないように不可侵条約すら結ばれているという徹底振りからも人気の高さが窺える。


「葵さん、わざわざありがとうございます。旭もサンキュ。もしかして俺のクラスまで見に行ってくれた?」
「はい。でもいらっしゃらなかったから、ここかな、って」


静が軽く葵に会釈をしてから、小柄な葵よりももう少し身長の低い旭に視線を落としてくしゃりを髪の毛を撫でる。
色素が薄く、柔らかな髪は指通りも滑らかで静はよく旭を髪をなで、旭もまた髪を撫でられる事を甘受していた。

旭も葵同様、アイドル的な容姿をしているため、密かにファンがいる。
どこか高潔で近寄りがたい雰囲気のある葵とは対照的に、若干人見知り傾向にあるものの人懐っこい顔を浮かべる旭は良くも悪くも声をかけやすく、親しみをもたれやすいアイドルタイプなのだ。
中学からの付き合いである静にとって、どこか危なっかしい旭は庇護欲が刺激され、旭はいつも何かを構ってくれる静は1番安心して頼れる存在となっている。


「でもここに来るのは誰かと一緒じゃないとダメだ。とんでもないセクハラ男がいるから」
「待て、静。それは俺のことか」
「何だ、自覚があって何よりだ」
「手当たり次第じゃない。ちゃんと選んでる」
「ほっほーぅ俺はてっきり手当たり次第かと」


優しく頭を撫でながら静の言った言葉に、葵と会話をしていた綾がピクリと反応して絡んできた。
軽く睨みつけるような仕草の割には明らかに面白がっていて、静もまたニヤニヤと笑って応酬してきた。
おろおろと2人の会話を聞くしかない旭とは違い、葵は少しだけ困ったように笑顔を浮かべる。


「あやちゃん、人の嫌がる事だけはしちゃ駄目だからね?」
「……はい」
「しずかちゃんも、からかうかたしなめるかどっちかにしなきゃ」
「はい」
「ん。イイコイイコ」


絶対的な「主」である葵にやんわりと窘められた綾は殊勝な様子で頷き、静もまた苦笑しながらも返事をした。
そんな2人に、葵はご褒美というように頭を撫で、綾にはオマケで頬も優しく撫でてから隣の旭に目をやる。


「じゃあいこっか。教室まで送るよ、あさひちゃん」
「えっ!? い、いいですよちゃんと帰れますし」
「いいからいいから。先輩の言う事はちゃんと聞く事~。じゃあね、あやちゃん、しずかちゃん」
「はい。また放課後」


恐縮しきっている旭の手を握り、のほほんとした口調と笑顔を浮かべながら軽く手を振って去っていく葵に、綾は律儀に軽く頭を下げ、2人の……というより葵の姿が見えなくなるまで見送るつもりなのか、ずっと廊下を見ていた。
そんな綾は放っておき、静は一度会釈をしてすぐに健一の下に戻る。


「おかえりー」
「ただいま。ってお前ほとんど食ったのか……まぁいいけど」
「ちゃんと2人分は残ってるじゃん」
「そらどうもー」


確かに2つの小さなお菓子の山が出来ていて、綾と静の分なのだろうというのは予想がつく。
その山の1つに手をつけ、口に咥えながらちらりと未だに教室の入り口に立っている綾を見やった。


「……相変わらずの忠犬ぶりだなーアイツ」
「今に始まった事じゃないよ。大体生徒会室じゃもっとすごいんじゃないの」
「まあな」


口にお菓子を咥えたままモゴモゴと話す静に、健一は少しだけ首を傾げる。


「…………あんまり気にしなくていいんじゃない」
「何が」
「色々」
「はぁ…?」


ぽつりと呟かれたアドバイスのような、そうではないような言葉に静は首を傾げる。
けれどそれ以上健一は何も言おうとせず、モリモリとお菓子を食べる事に専念してしまった。
そこに見送りを終えた綾が戻ってくる。


「ただいまーっす」
「おかえろー」
「エロエロー」
「お前等その挨拶は俺への挑戦か? 犯して欲しいのか?」
「やっだー犯すだなんてげひーん」
「お菓子ならほしーい」
「よーしとりあえず静は今晩覚悟しとけよ啼かすだけじゃなくて泣かしてやる」


口端を持ち上げてにやりと笑いながら空いている椅子に座り、お菓子を食べ始めた綾に健一は「ほどほどにね」と思いやりがあるようなないような言葉をかけたのだった。

***********************
【BGM:青春デイズ(Song by 平井堅)】


終わり方が適当とかぐだぐだすぎる中身とか、言われなくてもわかってるからツッコまないでくれ…。
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